2013/11/05

基底変換




Aさんは近所の家に用事がありました。







その距離33m
(さんじゅうさんめーとる)







Aさんは隣町に用事がありました。








その距離3,425m
(さんぜんよんひゃくにじゅうごめーとる)






Aさんは隣の市に用事がありました。






その距離14,220m
(いちまんよんせんにひゃくにじゅうめーとる)







Aさんは隣の県に用事がありました。






その距離130,257m
(じゅうさんまんとんでにひゃくごじゅうななめーとる)







他方、反対側の県に住むBさん。






その距離66,544m
(ろくまんろくせんごひゃくよんじゅうよんめーとる)





どちらがどれぐらい遠いですか?





Aさんの県からだと130,540m(じゅうさんまんとんでにひゃくごじゅうななめーとる)で、
Bさんの県からだと66,544m(ろくまんろくせんごひゃくよんじゅうよんめーとる)で、


で、なんだっけ?





1000m = 1km

m(メートル)を基準に長さを表現すると、
数字が大きすぎて何がなんだかよく分からないので、
千倍の大きさを表現可能なkm(キロメートル)に置き換えます。







どちらがどれぐらい遠いですか?





Aさんの県からだと130km(ひゃくさんじっきろめーとる)で、
Bさんの県からだと67km(ろくじゅうななきろめーとる)で、
Aさんの方がBさんより約2倍遠いです。



mからkmに置き換えたように、
測定の基準を置き換えることを基底変換と呼びます。









基底変換では、基準を置き換えても元のものの大きさは変わりません。
直接『メートル』で測っても、一旦『キロメートル』で測定したものを
メートルに言い直しても、同じ130,257mです。
『kmで測定した方が大きい』、ということはありません。








一辺が3、もう一辺が3の正方形の面積は?

 3×3 = 9




一辺が3、もう一辺が5の長方形の面積は?

 3×5 = 15




一辺が3.6、もう一辺が5.5の長方形の面積は?

 3.6×5.5 = 19.8






二辺間の角度は60度です。
一辺が3、もう一辺が3のひし形の面積は?





一辺が3、もう一辺が5だったら?






一辺が3.6、もう一辺が5.5だったら?









座標を二つ作ります。
それぞれの軸間の角度は90°と60°です。






そこに、先ほどの図形を持ってきます。
一辺が3, もう一辺が3です。





ここで一つ決まり事を作ります。
各辺の長さが1,1の四角形の面積を、それぞれの座標系でそれぞれ1と0.87とします。
( sin 60°= √3/2 ≒ 0.866 )






それぞれの四角形の面積は、

 90°系: 3 × 3 × 1 = 9
 60°系: 3 × 3 × 0.87 = 7.8





一辺が3、もう一辺が5だったら?

 90°系: 3 × 3 × 1 = 9
 60°系: 3 × 5 × 0.87 = 13.0





一辺が3.6、もう一辺が5.5だったら?

 90°系: 3.6 × 5.5 × 1 = 9
 60°系: 3.6 × 5.5 × 0.87 = 17.1


90°系から60°系に置き換えたように、
測定の基準を置き換えることを基底変換と呼びます。




え?二辺間の角度が60°なら
そんなことしなくても中学生なら計算できるって?


まあ、四角形ぐらいなら計算できるかもしれませんけど・・・






まともに計算できるのは三角形や四角形など
直線だけで囲まれている図形ぐらいです。


半径2の円の面積は?
90°系:  2 × 2 π × 1 = 12.6
60°系:  2 × 2 π × 0.87 = 10.9


90°系から60°系に置き換えたように、
測定の基準を置き換えることを基底変換と呼びます。









世界地図なんかでは、球座標を平面図に置き換えていたりするし、



それを北極側から見れば円座標だったりするし、







遠くにあってよく分からないものを、
原点近くに持ってきたり、






回転していてよく分からないものを、
角度を変えてみたり、







縮んでいるものを拡げたり、
拡がっているものを縮めたりする。




測定の基準を置き換えることを基底変換と呼びます。