2013/05/28

会社を構成するもの


Aさんは工場の作業員です。
仕事のやり方はマニュアルで細かく決められています。
給料は時給800円です。




Bさんは営業です。
新しいお客様を見つけるのが仕事です。
今日は新しいお客さんを見つけました。
販売数量が上がり、会社の利益アップです。




Cさんは設計技術者です。
より使いやすい技術を開発するのが仕事です。
Cさんが設計した新作が街で評判になっています。
販売数量が上がり、会社の利益アップです。




Dさんは試作技術者です。
設計者のアイディアを、高い作業技術で素早く形にします。
開発スピードが早くなり、その分新しい製品の開発に手を回せます。
開発期間が短縮され、会社の利益アップです。




Eさんは生産技術者です。
製品を、いかに効率的に確実に生産するかを考えるのが仕事です。
今回、画期的な製法を思い付き、工場の生産スピードが上がりました。
コストが下がり、会社の利益アップです。




Fさんは設備技術者です。
製品を、効率的に生産するための設備を設計するのが仕事です。
今回、自動ロボットを開発し、工場の生産スピードが上がりました。
コストが下がり、会社の利益アップです。




Gさんは資材購買です。
製品に必要な材料を、安く確実に仕入れるのが仕事です。
今回、新しい取引先を見つけて材料代が大きく下がりました。
会社の利益アップです。




Hさんは生産管理者です。
お客様からの注文と、工場の生産能力を対比し、適切な生産数を守るのが仕事です。
製品が人気で、生産能力が足りなくなってきているため、工場を増設しました。
生産能力が飛躍的に上がり、会社の利益アップです。




Iさんは品質保証者です。
会社で行われている活動を監視し、品質に悪影響を与える原因を取り除きます。
Iさんのチェックにより製品の高品質が守られ、会社の評判が上がります。
販売数量が上がり、利益アップです。




Jさんは人事です。
会社の活動が効果的になされるよう、適切な人員配備を行います。
配置転換したり、新人を採用したり、ときには働いている人に辞めてもらったりします。
コストを下げつつ、お金がもうけられる仕事に人を投入し、利益アップです。








会社にはほかにもいろいろな仕事があります。
一つの会社にすべての人がいるわけでなく、
複数の会社が協力して一つの商品やサービスを世に送り出します。

業界が変わると、全く別の仕事もありますが、共通の仕事があったりもします。


・・・が、どんな会社でも共通していることがあります。



成果次第で会社に莫大な利益をもたらす仕事と、




そうではない仕事があることです。




利益をもたらす仕事
利益をもたらさない仕事



『利益をもたらさない仕事』というのに反論があるかもしれません。
仕事が早くてほかの人より2倍頑張っている人もいる、と。





<利益をもたらさない仕事>

従業員が100人います。



Aさんはよく働きます。最前列右から2番目です。
従業員は100人いますが、もっとも優秀で、普通の人の2倍作業が早いです。
100人の中で、生産効率を1%上げています。
もし従業員が1000人いたら、0.1%です。

ここに誰がいるかはあまり重要ではありません。

誰かがいる必要があり、誰かがいればよい。
ある意味、会社であって会社でない部分です。

<利益をもたらす仕事>


Bさんは営業です。
日々お得意様回りをしています。
今まで注文をくれていたお客様に注文を継続してもらっています。


Xさんは営業です。
今日は会社創業して以来、最も大きな商談を獲得しました。
売上50%増です。

AさんがXさんに化けることはあり得ませんが、
BさんはXさんに化けることがあります。
Xさんは会社の成果に大きな影響を与えることになります。






<会社に利益をもたらす仕事>

Cさんは設計技術者です。
日々粛々仕事をこなしています。


Xさんは設計技術者です。
彼はヒット商品を連発する看板設計者です。
利益の50%は彼の仕事といっても過言ではありません。



Xさんは試作技術者です。
どんな難しいものでもアッという間に試作してしまいます。
彼のおかげで開発期間が4割減です。


Xさんは生産技術者です。
彼は工場で使われている生産方法の半分を一人で作り上げました。



Xさんは資材調達者です。
彼は新しい取引先の発掘が得意で、
会社の新規取引先の約半数を彼が開拓しました。






会社には、数の比率に違いはあれど、
『利益をもたらす仕事』と『利益をもたらさない仕事』が同居しています。






さらに、『利益をもたらす仕事』は二つに分けることができます。
『実際に人より多い利益を生み出す人々(Xさん)』と
『人並みの利益を生み出す人々(Cさん達)』です。
Cさんが50人いてようやく生み出せる利益を、Xさんは一人で生み出します。
この場合、会社にCさんが何人いるかはさほど全体には影響を与えません。
Xさんの成果が全体に対して支配的になります。



看板設計者と
凄腕資材調達と
『会社を支えるその他大勢』
門外不出の神業工場と
『会社を支えるその他大勢』
超やり手営業と
『会社を支えるその他大勢』

一般プレーヤーの役割は二つあります。
(1) Xさんを支えること。
(2) この集団から次のXさんを生み出すこと。
会社間の戦いはXさんクラスの人で行われます。
一人で100人1000人分の成果を出すエースプレーヤー同士の対決に、
一般プレーヤーが一人増えるかどうかは大勢に影響しません。






各社を代表するエースプレーヤーが日々激戦を繰り広げる中、
ごく一握りの天才が、社会を変革させる大仕事を成し遂げます。

天才とエースの違いは、その影響範囲が社会全体に及ぶか、
会社限定か、です。

社会にとっては変革者は重要な意味があるのですが、
社会に変革をもたらしても、会社や本人が報われないことは多々ありますし、
社会に影響を与えなくとも、会社に莫大な利益をもたらすスーパーエースもいますので、
会社にとっても本人にとっても、必ずしも社会の変革者は必要ではありません。






< I >
社会を動かすもの
< II >
会社の存在意義を与えるもの
< III >
会社を下支えするもの
< IV >
社会との接点










組織を動かすもの
リーダーシップ
コピーアンドペースト
ドラッグアンドドロップ
エースプレイヤー組織論
会社を構成するもの
51人目の仕事